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CSR・環境活動

イオンモール CSRレポート 未来への報告書2015

第三者意見

高岡 美佳 氏

立教大学経営学部教授
高岡 美佳

【プロフィール】
青山学院大学経営学部卒。東京大学大学院経済学研究科で博士号取得。大阪市立大学助教授、立教大学経営学部助教授などを経て2009年4月より現職。主な研究テーマは、流通経済論、CSRとブランド価値、システムと消費者行動。著書に『サステナブル・ライフスタイルナビゲーション』(日科技連出版社、2007年)など。

評価できること

■全体を通じて、「地域と共に『暮らしの未来』をつくるLife Design Developer」というイオンモールの基本理念が明確に反映されたCSRレポートだと思います。モールで働くパートナーや自社社員、出店地域で暮らす人々を含めたステークホルダーの生の声が数多く掲載されており、顔の見える報告書となっている点も特徴です。

トップメッセージにあるように、ショッピングモールを取り巻く経営環境は大きく変わりつつあります。2015年4月末時点でイオンモールは、国内141、中国6、アセアン3のモールを展開していますが、すでに大規模商業施設数が一定数に達している国内においては今後ますます地域特性に合わせた個性と新しい価値の提案が求められますし、海外出店も加速していくでしょう。このような状況の中、同社は、「アジア50億人の心を動かす企業へ」という経営ビジョンを実現すべく、商業施設の枠組みを越えて、豊かで新しい暮らしや価値観を創造・提供することで地域や社会、そして地球環境に貢献しようとしていることが、報告書を読むとわかります。本業を通じたCSRを心がける企業姿勢を高く評価したいと思います。

特集1では、イオンモールと地域雇用の関係が紹介されています。ここでは、具体的に出店地域の雇用創出効果が試算されており、同社が地域の安定的な雇用に関心を払っていることがわかります。また同社は、広い休憩室やパウダールーム、モールの従業員専用のコンビニエンスストアを設置し、2014年2月にはグループ事業内保育園を開園するなど、人々が安心して快適に働くことができるような環境を整えています。広く見ればショッピングモール運営という事業の一環ではありますが、直接的な利益に結ばない投資を小売業はしにくいものです。自社の社員だけでなく、モールにテナントとして入店している店舗で働く従業員を大切なステークホルダーとして位置づけ、地域の人々とともにモールを作り上げていくための各施策はぜひ続けていただきたいと思います。

特集2と「環境への配慮」からわかるように、イオンモールは地球環境への配慮の点でも非常に高い意識を持っています。同社は、太陽光発電システムの導入やモール壁面の緑化、EV(電気自動車)充電器の設置、生物多様性の保持、廃棄物削減、リサイクルなど、多方面から環境保全に力を注いでいます。とりわけ注目すべきは、2014年6月にカンボジアの首都プノンペンにモールをオープンした際の環境対応でしょう。建築基準法も環境基準も存在しないカンボジアで、「基準は課せられるものではなく、つくるもの」という意識を持ち、自主的に厳しい基準を設けてモールを建設・運営しています。太陽光モジュールの設置やカンボジアで初の試みとなるインバータ制御の空調、膜式ろ過装置を備えた浄化槽の設置などそれ自体も素晴らしいですが、何より、明確な環境保全意識を持ってモールの建設・運営に携わっている点に、同社の環境意識の高さが見てとれます。

要望したいこと

■CSR活動を適正かつ継続的に改善していくためにはPDCAサイクルの導入が不可欠です。イオンモールが自ら重要だと考えて実施している主なCSR活動について、その目的や取り組み内容、期間、目標値、達成度などを一覧で示したアクションプランの掲載を検討していただきたいと思います。

■もう一つは、社員に関するデータの拡充です。
2013年に人事統括部の組織下に教育部を新設して人材育成に力を入れるなど、一人ひとりが能力を発揮して活き活きと働ける職場環境が整備されているのではないかと想像しますが、現時点では、ダイバーシティやワークライフバランスに関するデータが充実しているとは言えません。次年度以降は、例えば、女性管理職比率や介護休職者数などを掲載してはいかがでしょうか。


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